SUPを始めて、最初はサーフポイントになっていない海で練習しておりましたが、だいぶボードを思う通りに操れるようになってきましたので、目標にしていたSUPでサーフィンをやり始めました。
テイクオフの加速の段階からボードに立っていることが新鮮で、小波でもすごく面白いです。
ボードに浮力がある上、パドルで掻くので手でパドリングするより遥かに良く進むため、うねりの段階からテイクオフでき波に長く乗れます。最初からボードに立ち上がっているため、長く乗っていると錯覚しているというのもあるかもしれませんが。
ショートボードはもちろん、ロングボードでもちょっとしんどいかもというような波サイズやコンディション(例えばトップのみダラダラ崩れるみたいな)でもできてしまう場合もあるので、意識的に空いているポイントを選び、のんびりできます。
サーフィンをやっている方なら、SUPの操作に慣れればすぐにテイクオフはできるようになると思いますが、通常のサーフィンとはちょっと違うコツがあると感じたので、今回はSUPでテイクオフするときに私が意識していることや、実際にやっていることなどを書いてみたいと思います。
目次
波待ち
波待ちの位置
ボードに浮力があるからといって、通常のロングボードで波待ちする位置よりずっとアウトから乗れるというわけではありません。(私はちょっと思っていたので念のため。恥)
私は8’5”のSUPボードですが、漕がなくてもボードが勝手に進む状態になる(ここでは滑走状態と呼ばせてください。)タイミングは、ロングボードより少し早いかなというくらいです。
これは、波質やボードサイズ、上手くなれば変わってくるかもしれませんが、SUPサーフィンでも波のブレイクするポイントに合わせて乗るというのは、通常のサーフィンと一緒だと思います。
SUPではパドルで掻くのでボードが良く進みますから、通常のサーフィンの感覚と同じような波待ち位置では、パドルで掻いていたらボードがインサイドまで進みすぎ、波がブレイクしてしまうなど波のオイシイところを逃す可能性大です。
また、進みすぎるからといってパドルを弱めてボードのスピード調整をし、ブレイクに合わせるのはもったいないです。←私は波待ち位置をミスって良くやります。
ですから、SUPサーフィンでの波待ち位置は、やはり通常のサーフィンの波待ち位置より数メートルアウト側くらいが良いのではないでしょうか。
全力でパドルして、まだうねりの段階でボードが滑走状態になり、波が崩れたら横に行って繋いでいくというのが理想だと考えます。
スムーズにスピードが付けられれば、思いのほか早い段階で滑走状態になってSUPの浮力を最大限に生かしたサーフィンができると思います。
方向転換(ステップバックターン)
波待ちをして、乗れそうな波が来たら、だいたいはアウト側を向いて波待ちしていると思いますのでインサイド側を向くためターンします。
ここで使えるテクニックがステップバックターン(ピボットターン)です。片足をテール側に下げてボードのノーズを上げ、小さい半径で素早くボードを旋回させるテクニックです。
ステップバックターンについては、こんな記事(SUPステップバックターン(ピボットターン)の仕方、SUPサーフィンで使えるテクニック)も書いておりますのでよろしければご覧ください。
ただ、SUPはボード上の立っているのでうねりを見つけやすく、準備に余裕がある場合もありますので、わざわざステップバックターンをしなくても、普通に旋回してパドルを開始しても大丈夫なことも多いです。
方向転換で私が気を付けていることは、SUPは通常のサーフボードより小回りがきかないので、早めに行きたい方向にボードをむけるようにしています。
また、SUPは片側だけを漕ぐと、ボードの進行が曲がっていきがちです。
狙った場所に行きたいのに曲がっていってしまいピークを外したり、波に押されるときにボードがナナメを向いてしまってうまく滑り出さず、テイクオフできないということもあります。
ボードの片側だけ掻いてまっすぐ進む方法もあり、こちらの記事(SUPでまっすぐ進まない、曲がってしまう?まっすぐ進む方法。漕ぎ方。)で書いているのですが、毎回完璧にできるわけではありませんし、やはり少しは曲がってしまいます。
そこで、最初から曲がることを想定し、最終的にうねりが自分に追い付いてきてボードを押してもらうときに、うねりのラインに対してボードが垂直になっているように、方向転換のときにうねりに対してのボードの角度(向き)を調整します。
実際に自分の動きを客観的に見たわけではないので動きの「イメージ図」です。
うねりが来てボードの方向転換をする時に、これから加速するために漕いでいった場合に、どれくらい曲がってしまうか考えてパドル開始時のボードの向きを調整します。これは、まっすぐ進むように漕いだ上で、それでも多少は曲がってしまうことを考えて行う保険みたいなものだと思っています。
パドル開始~加速
漕ぎ方
うねりを見つけ、最初は普通にパドルを左右に素早く持ち替えて曲がりを修正しながら漕いでも良いと思いますが、波が直前に迫ってきたらパドルを左右に持ち替えているヒマはありません。
なるべく片側だけ漕いでまっすぐ進むようにしたいところです。
こちらの記事(SUPでまっすぐ進まない、曲がってしまう?まっすぐ進む方法。漕ぎ方。)で書いている通り、まっすぐ進む基本はまっすぐ掻くことです。
ひと掻き目にパドルを入水させ、動かし始めた時点のパドルの向きや動きで、ボードがどのくらい曲がるかが決まると私は感じています。
パドルの動かし始めの向きに注意とちょっとした工夫をすることで、ボードの曲がりを最小限に抑えます。
例えば、私は下図のようなイメージで掻くようにしています。
ボード右側を掻くと左に曲がっていきやすいですから、ボードが左に曲がるパドルの動きをしてしまわないよう、意識的に図のようにパドルを動かすわけです。
Cストロークの前半部分だけをやる感じです。
移動するときのようにグイーーーーーっと後ろまで掻くのではなく、うねりが近付いてきたらガシ、ガシ、ガシと短いストロークで掻く方が加速するには良いと思います。
スタンスは図のように片足をほんの少し下げ、掻く側に少し体を向けるとやりやすいと思います。
レギュラースタンスの方は図のように右を向いて右側を掻き、グーフィースタンスの方は左を向いて左側を掻くと、テイクオフ後に波乗りのスタンスになりやすいというのが多少あるかもしれませんが、ちょっと体を向けるだけなので、波乗りのスタンスにとらわれずやりやすい方でも問題ないと思います。
ただこの漕ぎ方でも多少は曲がるかもしれませんので、自分の曲がり具合に合わせて上述の最初の方向転換(ステップバックターン)を調整する方法を行なうと良いと思います。
テイクオフ
テイクオフ時のスタンスと体重移動
漕ぎ続けていてうねりに押され始めたら、波の状態に合わせてボード上で前後にうまく体重移動すると、ボードが波の斜面を滑り出してテイクオフ成功です。
サーフィンをされる方は、パーリングしないようにまたは波においていかれないようにする体重移動の理屈はわかっていると思いますので、あとは立ったまま漕ぎながらどうやるか?です。
サーフィン未経験でSUPサーフィンに挑戦中の方は、こんな記事(なぜパーリングしてしまうのか。原因、チェックポイントを考えてみる。)を書いております。普通のサーフィンの内容ですが理屈は一緒なので何か参考になるかもしれません。
掘れた波・サイズのある波
掘れた波や波サイズが大きくなってくるとパワーも斜面の角度も急になるので、波がボード近くまで迫ってきたらテールが持ち上がってくる前にあらかじめサーフィンのスタンスになっておき、パドルで掻いて加速した方が良いかもしれません。
掘れた波・サイズのある波では、テールが持ち上がってきてから滑走状態になるまでのタイミングやスピードが速いので、すぐサーフィン状態でのボードコントロールに移れるようにしたいのと、波の斜面が急なのでパーリングしやすいため、後ろ足に体重をかけてノーズを上げ、パーリングを防ぎます。
また、SUPのテイクオフ失敗でよくあるパターンとして、波に押されたと思ったらボードだけ前に飛んでいってしまい、自分はおいていかれて足をすくわれるように尻もちをついて落ちることがあります。
これは、例えばスケボーにSUPのように正面を向いて立ち、誰かに急に後ろからテールを蹴られた場合、スケボーは前に飛んでいき尻もちをついて倒れてしまう状態と似ていると思います。
SUPのテイクオフで尻もちをつくように落ちるのは、SUPボードが波に押されて滑っていくスピードに体が対応できていないためと考えられます。
ですから、あらかじめ足を前後に広げた横向きのサーフィンのスタンスになっておけば、前後の体重移動がしやすく、ボードが急激に押されて前に進んだ時にも前足をぐっと踏み込んでバランスを取り、ボートに乗っていけると思います。
タルい波・厚い波の場合
私の場合、タルい波や厚い波での加速時は、体はほぼ正面を向いていて、ボードが滑り出したらさっとサーフィンのスタンスになるパターンが多いです。
タルい波や厚い波のときにあらかじめサーフィンスタンスにならない理由は、SUPで普通にパドルで漕ぐポジションやスタンスが、ボードの進行に一番抵抗がない状態だと思っているからです。
また、正面を向いた体勢の方がパドルで右側を掻いたり左側を掻いたりとボードを操作しやすい、パドルを力強く掻けるというメリットもあります。
サーフィンスタンスになると足を前後に広げるため、どうしても体重の何割かは後ろ足側(テール側)に移り、ボードの進行の抵抗となります。
斜面の緩いタルい波や厚い波では、抵抗を少しでもなくしボードにスピードをつけ、ノーズが沈まない程度にボードの前方へ圧(体重)をかけたほうがよりテイクオフしやすいと思っています。
ですから、なるべくテール側に体重をかけないようにしたいです。
タルい波や厚い波では、パーリングやすごいパワーでボードが押されて体が対応できないような状態にはなりにくいので、テイクオフの段階ではテール側に体重をかけたり、サーフィンのスタンスになる必要はないと思います。
サーフィンのスタンスになるのは、ボードが滑走状態になってからでも十分間に合うと思います。
タルい波や厚い波でもあらかじめサーフィンスタンスになっておきたいならば、テイクオフのときに前足側への圧力を強めて(体重をかけて)漕ぐ必要があります。
波が弱かったり厚かったりすると、乗れそうな感じだったのに、あとひと押しが足りず波においていかれるということがあると思います。
最後に、そんな時に私がやっている方法をご紹介します。
進行方向に正対した状態でパドルします。波が追いついてきて「おいていかれる!」と思ったら、両足跳びでピョンと少しノーズ側へ移動します。これだけです。
実際には図のようにこんなに飛び跳ねてはいませんが、ノーズ側へ体重を移動するためにやっています。
ボードのボトムの接水度合いにもご注目ください。
テイクオフの時、ボードは自分の立っている位置から後ろ側の面積で波の力を受けているので、力が足りなければ、ボードの前方に移動することによってノーズを下げ、波の斜面にボードを合わせてやります。そうすると力を受ける面積が増えてテイクオフしやすくなると私は思っています。
ただ、やりすぎる(前方に移動しすぎる)と当然ノーズが沈みすぎて逆に失速したり、パーリングしてしまうことになりますので加減が必要です。
最後の悪あがきのようなテクニックですが、これで乗れてしまうこともあります。
まとめ
SUPはある程度は曲がって進んでしまうということを考慮して、その曲がり具合を計算して波待ちや加速をし、波のピークにうまく合わせることが大切です。
また、波のサイズや掘れ具合などで体勢を変えることもテイクオフするには必要なテクニックだと思います。
SUPの浮力を活かせば、他のサーファーがいないようなスモールコンディションでもサーフィンできてしまうこともあるので、のびのび練習できるチャンスが結構あると思います。
以上、SUPのテイクオフについて私なりの方法を書いてみました。