ローリングスルーのやり方やコツ、ファンボードやロングボードには必須テクニック

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当サイトでは、ドルフィンスルーが厳しいファンボードなどの浮力の大きいボードを推奨しておきながら、アウトに出るときの波対策テクニックを紹介していませんでした。

こちらの記事(ゲッティングアウトできない。波に巻かれる、進まない時はどうするか。)では少しだけ触れていますが、詳しくは書いていません。

そこで、今回は比較的大きな波をやり過ごすときに使えるローリングスルーについて、私のやっているやり方やコツなどを紹介したいと思います。

この記事を書くために、先日、サイズが胸~頭、厚めの波でトップのみダラダラと崩れるような、わりとファンボードやロングにはうれしいコンディションでひとつひとつ確認しながらローリングスルーしてきましたので書いてみたいと思います。

自己流な部分もあるかもしれませんが、何か参考になることがあればうれしいです。

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目次

ローリングスルーとは

私は、ローリングスルーは比較的大きなスープ波をやり過ごすテクニックだと思っています。

スープとは、波が崩れて白い泡状になった部分のことで、この部分にはとてもパワーがあります。

ローリングスルーは、波が来たらボードに腹ばいのままレールを掴み、そのままボードごと横にくるんとひっくり返ります。自分はボードにつかまりながら水中に潜って波が通り過ぎるのを待ちます。

ドルフィンスルーの厳しいボードでの波を越えるテクニックとしては、プッシングスルーやシッティングスルーがありますが、これらのテクニックは波サイズが大きくなってくるとだんだん厳しくなってきます。

プッシングスルーやシッティングスルーで波を越えられないときがローリングスルーの使いどころとなります。

波をやり過ごす仕組み

まずは、ローリングスルーでは波をどうやってやり過ごしているかを考えてみます。

サーフィンは波の力を受けて波に乗るスポーツですから、サーフボードは当然、水に浮き上がる浮力があり、波の力を受けやすい形状をしています。

波が崩れて白い泡状になったスープ部分はパワーがあり、そのパワーのあるスープ部分に不用意にボードを当ててしまうと、もろに波の力を受けてしまい戻されるのです。

ですから、波に戻されないようにするにはこのスープ部分のパワーを極力受けないようにしないといけません。

ドルフィンスルーできるならば、そのスープ部分の下にボードごと潜ってスープの力をボードに受けることなく通過できますが、浮力のあるボードではここまで沈められません。

波は、うねりが岸に進んできて海底の地形に変化(浅くなったり、サンドバー、岩盤があるなど)があると、うねりのトップが前方に飛び出すように崩れます。

その崩れて白く泡立った部分がスープですが、スープを良く観察すると、スープ部分は波の斜面を滑るように進んでくるのがわかります。

スープは激しく泡立って動いているのでわかりにくいかもしれませんが、トップのみダラダラ崩れるような波だとそれが良くわかると思います。

私たちがゲッティングアウトするときに見ている前方のスープの内側には波の斜面が隠れていて、スープはその斜面を滑りながら進んでゲッティングアウトする我々を襲ってくるのです。

ですから、ローリングスルーでは、ひっくり返ってボードのボトム面をスープに滑っていってもらえば、スープの力を受け流し、大きく戻されることなく波をやり過ごせると私は考えています。

やり方

手順1:スピードを付ける

ゲッティングアウトしていて波が来たら、ひっくり返る前になるべくスピードを付けておきます。

単純にスピードが出ていた方が、前に進むエネルギーは大きいので、波に押し戻される度合いが少なくなるからという考えです。

実際には、回転した瞬間、ボードの進行にブレーキがかかるので止まった状態からやっても一緒のような感じがしますが、私的にはスピードが出ていた方が、波にぶつかった瞬間の戻される感じが少ない気がするので、なるべく加速するようにしています。

手順2:レールを掴む

ボードをひっくり返すためにパドリングをやめてレールを掴みます。

掴むレールの位置は、なるべくノーズ側が良いという説があります。

波はボードをめくり上げようとするので、なるべくノーズ側を持つことにより、ボードをめくり上げようとする波の力を受ける面積を小さくするためだと思います。

上図ボードの赤丸は掴んでいる位置で、ひっくり返って自分の体がぶら下がっている状態なので、実線矢印の方向に体重(力)がかかっています。

点線矢印1はボードをめくり上げようとする波の力です。点線矢印2はボードの上を通過しようとする波です。

赤丸位置を掴んでいるので、点線矢印1のめくり上げようとする波の力は、図のボードの黄色い部分の面積で受けることになります。

一方で、ボードを掴む位置がテール寄りになると、図のように波の力を受けるのは赤い部分となり、面積が増えますので、その分ボードがめくり上がりやすくなってしまうと考えられます。

ただ、あまりノーズ側を持ちすぎるとボードはノーズにかけて細くなっていますから、波の力でボードが岸側に引っ張られると、手からすっぽ抜けるおそれがあります。

実際私自身はあまりノーズ側を意識して掴んでいません。テイクオフする時に手を着くあたりが一番力を入れやすいので、そのあたりのレールを掴んでいます。

その分、波にめくり上げられないよう力を入れて耐えます。

波の大小で変えてみたり、自分のやりやすい位置など探してみてください。

手順3:ひっくり返る(ローリング)

いよいよボードをひっくり返します。

タイミングは、波がボードに当たると同時にちょうど回転し終わるくらいで良いと思いますが、波質によっては、もう少し遅い方が良いようです。

例えば、ひっくり返ったボードのボトム面に、上から波のリップが直に落ちてくるくらいの掘れた波では、落ちてきた波でボードのボトム面がヘコんでしまうことがあるようです。

このような波質では、少し回転のタイミングを遅らせて、落ちてくる波をボトム面が斜めの状態で受けるようにするとボードへのダメージを減らせるということです。

私は、強烈に掘れた波ではほとんど入ることがないのでとくに意識していませんが、宮内謙至プロのロングボードのレッスンDVDで、「最悪ボードが折れることもある」と言っていたので、掘れた波質の時に入る場合は、頭に入れておいた方が良いかもしれませんね。

手順4:元に戻る

水中で耐え、波をやりすごしたら素早く元に戻ります。

私のボードの戻し方は、片手だけテール側にずらし、そのずらした方の手でボードを持ち上げるようにしてひっくり返しています。

理由はわかりませんが、幅の狭いテール側を持ち上げた方が単純に回転半径が小さくて済むのでやりやすいのかなと思っています。

ボードを返したら素早くボードに乗り込んでパドリングを再開します。

失敗別チェックポイント

波に巻かれて戻される

私はローリングスルーは波に戻されるのを最小限にするテクニックだと思っていますので、多少は戻されてもしょうがないと思っています。

ドルフィンスルーのように完全に波の力をかわせるテクニックではないと思っているので、戻されていると感じても、波をやり過ごした後の体勢が安定しているならローリングスルー成功と言っていいと思います。

波に巻かれてしまっては、まずボードを掴んでいられないためパドリングをすぐに再開できず失敗となります。

波に巻かれるのは、ひっくり返ったボードのデッキ面(ワックスが塗ってある面)にスープが当たってめくり上げられ、めくり上げられてボードが立ち、更に波に押される面積が増えて耐えきれなくなり手を離してしまっているか、体ごと流されているからだと思います。

ポイントとしては、波のトップから滑り下りてくるスープの下(スープとスープになっていない水面の境目辺り)にボード先端を入れる感じでひっくり返り、スープがうまくボードの上を通過すれば戻される度合いは最小限で済むと思います。

また、ボードがなるべく水平になるように意識すると良いと思います。だいたいのボードにはノーズロッカー(ノーズの反り)がついていますから、ボードが水平に近くなれば、ノーズは自然と水中方向を向くことになるので、よりデッキ面側に力を受けにくくなると思います。

ボードが飛ばされる

波の力に耐えられず手からボードが離れてしまう場合は、水中で腕が伸びていないか確認してみます。

波の力に耐えるため、力が入れやすくなるように私が意識しているのは、ボードを掴んでいる腕を伸ばさないようにするということです。

ひっくり返ったら、腕をたたんでボードを自分の方に引き込むようにして力を入れ、波の力に耐えています。

腕を伸ばしてしまうと、胸や背中の筋肉が効果的に使えず、握力のみでボードを抑えているような感じがするからです。

また、腕をたたんでボードと一体になり小さく一塊りになれば、波の力を受けにくくなる効果もあるのではないかと思っています。

すぐ次の波が来る

ローリングスルーは、どうしても多少は戻されますから、あとは波の通過後にいかに素早くパドリングを再開できるかが大切だと思っています。

ボードを戻した後、顔を拭いたり、髪をかき上げたりしているヒマはありません。次の波が来る前に、とにかくすぐにパドリングしましょう

私の場合は、「手順4:元に戻る」で上述した通り、ボードを押す手を少しテール側へずらしてボードを持ち上げています。この方がスムーズにボードを返せます。

ボードを返したら素早く乗り込み、目が開けられなかったり、耳や鼻に水が入って気持ち悪いと思っても、まずはパドリングを開始するようにします。

とにかく休まず前へ前へ進んで、少しでも早く波のブレイクラインを越えてしまい、ローリングスルーしなくても良い位置まで行くようにします。

おわりに

以上、ローリングスルーについて書いてみましたが、波が大きくなればなるほどスープの動きは荒々しくなり、うまくできたと思ったのにボードをめくり上げられ巻かれてしまうことがあると思います。

以前書いたこちらの記事(ゲッティングアウトできない。波に巻かれる、進まない時はどうするか。)の情報と合わせ、それでもアウトに出られない場合は、そのボードでの限界だとあきらめることも肝心だと思います。(私は良くボードのせいにしてあきらめてます。笑)

波の小さいポイントに変えるなどして、なるべく楽に、楽しくサーフィンした方が上達も早いと思います。

上達してくれば、サーフィンに必要な筋力も付いてきて、いつのまにか自然に大きな波でもローリングスルーできるようになってくると思います。