スポーツにはルールがあり、それに則って競技が行われます。サーフィンも同じで世界共通のルールがあります。
そのルールは、趣味のサーフィンでも必ず守らなければなりません。
サーフィンを始めたばかりの頃は、自分が波に乗ることだけに夢中になってしまいがちで、ついやってしまうのがワンマンワンウェーブというルールを破る行為「前乗り(ドロップイン)」です。
本記事では、前乗りについて書いてみたいと思います。
目次
前乗り(ドロップイン)とは
まずは、前乗りとはどんな行為か?ということですが、簡単に言うと、「波のピークから乗った人の前(進行方向)で同じ波に乗ること」だと思います。
私は、この「波のピーク」というのがポイントであり曲者だと思っています。
前乗り、判断のポイント
当サイト「趣味のサーフィン」推奨ボードは、浮力のあるボードです。上達してもたくさんの波に「楽に」乗るため、わざわざテイクオフが難しいボードに乗る必要はないという考えです。(華麗なリップアクションをしたい方は別。)
上手くなってくると浮力のあるボードでは、うねりからショートボードよりワンテンポ早くテイクオフできてしまうことがあります。ロングボードではその特徴が更に顕著に出ます。
そんなボードを使用した場合、勘違いしやすい例をあげてみます。
これはロングのA君が前乗りしたことになります。
A君は、すぐに波から降りて、B君にあやまらなければなりません。
B君は後からテイクオフしてきたのに・・・と思ってしまいますが、先に立ち上がった人が優先ではありません。よりピークの近くから立ち上がった人がその波に乗れる権利があります。
前乗りを判断しにくい場合がある
「波のピーク」という判断基準が曲者だと私が考えるのは、必ずしもピークがはっきりとわかる波ばかりでないという理由からです。
ビーチブレイクで地形が良い時やリーフで毎回同じ位置で規則的に波が割れるポイントでしたら、どこからテイクオフしたら前乗りになるか誰が見てもすぐわかります。当然そのポイントに人が群がります。
ところがビーチブレイクのほとんどの日が、どこがピークかわかりづらかったり、つながった波などでピークとピークが近かったり、ピークがワイドでどこからでもテイクオフできてしまうコンディションです。
自分はピークからテイクオフして前乗りじゃないと思っても、「前乗りするな!」と怒られたり、「前乗りされた!」と思っても相手は前乗りしたと思っていないなどトラブルの元になりやすいです。
となると、やはり以前書いたこの記事(「上手い奴がエライ」を受け入れる)のように、自分は絶対に前乗りしてない!理不尽だ!と思っても「前乗りだ!」と怒られたりしたら素直に謝ってしまった方が良いです。
審判などいないので、議論しても永遠に平行線だからです。
相手の前乗りを注意してくるくらいですから、その人はそれなりにサーフィンの腕前には自信があるはずです。「上手い奴」です。
トラブルになるとせっかくの休日が楽しくなくなります。
前乗りでトラブルにならないためにすべきこと
周りを確認する
普通でしたら前乗りしてしまわないように、自分が波のピークに一番近い所からテイクオフするか、ピーク付近を見て、テイクオフする人がいればパドリングをやめるというのが基本だと思いますが、混雑していたらなかなか思うようにはいきません。
そこで提案したいのは、例えば、レギュラーの波(岸に向かって右に割れていく波)が来てそれに乗ろうとパドリングを開始した時、自分の近くの左側で一緒にパドリングを開始した人がいれば、自分はすぐパドリングをやめてその人に波を譲ってしまうことです。
レギュラー方向の波ですから、そのまま二人でテイクオフすれば確実にその左にいた人に対し、前乗りしてしまうことになります。
逆に、グーフィーの波(岸に向かって左に割れていく波)でしたら、自分の右側にいる人に注意します。
つまり、常に自分の後ろから誰か乗ってこないか気にしておくということです。
ただ、左側(グーフィー波なら右側)にいる人といっても、少し離れていて自分のいる位置まで乗って来れないような波質(テイクオフ程度しかできないなど)であれば乗ってしまっても前乗りだと指摘されることは少ないと思います。
実際、このような状況で一つの波に数か所から何人もテイクオフすることは混雑したビーチでは良くあることです。厳密に言うと本当はダメだと思いますが、波質が良くなく隣りの人に追い付くほどの距離乗れない、危険でない、ライディングを邪魔されてない、とお互いに思ってテイクオフしていると思います。
ですが、本当にすぐ近くでパドリングを開始した人がいる場合は、危険回避のため自分はテイクオフをやめた方が良いと思います。他にも、ある程度波質が良くショートライド以上できるような時は、離れた所からテイクオフしてくる人でも注意しなければいけません。
海に入る前に波のコンディションを確認し、どの程度の距離乗れているかを見ていると思いますので、あとはテイクオフの時に周りを確認し、「いける」「いけない」を瞬時に判断できるようになれば良いと思います。
この判断が的確にできるようになれば、混雑していてもトラブルなく乗れる波がぐんと増えると思います。
セット1本目には乗らない
セットは3~4本波が来ますから、1本目の波は見送りましょう。
波待ち中、みんな波に乗りたくてウズウズしてますから、やっと来たセット1本目の波に乗ろうとするでしょう。あなたは、2本目3本目の波に低い競争率で乗れば良いです。
上記で譲ってしまってOKと言ったのはこれが理由でもあります。
近くにいた人がセット1本目の波に乗っていっていなくなったら、その人がテイクオフしたポジションにパドリングで移動して、今度は自分がそこからセット2本目3本目の波でテイクオフできます。
波待ち位置
前乗りとならないようにするためには、自分の進行方向の後ろから誰も乗ってこなければ良いわけです。
ですから、そのような位置で波待ちすれば、気にしなければならないことがひとつ減ります。
例えば、そのサーフポイントの一番端で波待ちするなどです。岩場のすぐ横とか、ビーチの端とか、とにかく片側には人が誰もいないところで波待ちするのです。
波質が悪かったり、カレントなどの心配があり危険でしたらやめた方が良いですが、空いていることも多く、私はあえて端っこを選んで入ることが多いです。
まとめ
前乗りしてしまわないようにするためには、とにかく周りの状況をよく確認しておくことです。
テイクオフする時は波に乗ることに集中してしまい、どうしても周りの状況が見えなくなりがちですから、なるべく人が少ない状況でサーフィンできるよういろいろ工夫することが、トラブルになる確率を減らすことに繋がると思います。
また、こちらの記事(サーフィンは初心者にやさしくないスポーツだと私が考える理由)にもトラブル回避のためのアイデアを書いていますのでよろしければご覧ください。