ゲッティングアウトとは、沖合の波がブレイクするポイントまで出ていくことです。
この記事に辿りついた方は、おそらく台風接近時の大波や荒れたコンディションで、もっと楽にゲッティングアウトできる方法はないか探しているのではないでしょうか。
大波コンディションで、自分はアップアップしているのに、その横を平然とゲッティングアウトしていく上級者を見て、「何が違うんだ??」と思っていることでしょう。
正直、ゲッティングアウトについては、「ゲッティングアウト、コツ」などで検索すると出てくる答えが全てで、それ以上の「初心者でも簡単に・・・」などといった秘策はないと思います。
本記事ではゲッティングアウトについての私なりの考えを書いてみたいと思います。
目次
ゲッティングアウトのコツ
ドルフィンスルーは深く潜る
波の向こう側へ行くにはドルフィンスルーか、ボードが沈められなければローリングスルーやシッティングスルーなどのテクニックがありますが、情報の多くがショートボード用の情報なのか、「ドルフィンスルーで深く潜れ」というアドバイスがあったりします。
このサイトでは、浮力のあるボードを推奨していますし、私自身もよく使うボードではドルフィンスルーできませんので、深く潜れと言われても参考になりません。沈められるボードの浮力には限界があると思います。(ロングボードでもドルフィンスルーできる人もいるようですが。)
だからといって、浮力の少ないドルフィンスルーしやすいボードに変えることはおすすめできません。サーフィンの目的は波に乗ることです。ドルフィンスルーすることではありません。
また、完全に崩れた巨大なスープ波でのドルフィンスルーはとても難しいと思います。上級者でも多少は戻されているらしいので、戻される程度の違いがゲッティングアウトできるかできないかの違いになってくるのでしょう。
私も時々短いボードを使用することがありますが、やってもやっても巨大スープ波では全く前進している感覚がありません。ドルフィンスルーが効果的だと思えるのは、崩れる瞬間の波で、その波の壁に潜って波の向こうに突き抜けられる時だけだと思っています。
ですから、このアドバイスはドルフィンスルーができないボードならば参考になりません。そもそも上級者のように深く潜れるならゲッティングアウトで悩まないでしょう。
ローリングスルーは素早く戻る
ドルフィンスルーができないなら、ローリングスルーです。
ドルフィンスルーと同じように水中に潜るわけですが、体とボードがドルフィンスルーとは逆になります。
ボードに腹ばいのままくるっと半回転して水中に潜り、波をやり過ごすテクニックです。
「ローリングスルー」で検索すれば詳しいやり方は出てくると思いますが、私が意識しているポイントとしては、波をやり過ごしたら素早く戻ってすぐパドルを再開することです。
そのためにはパドリングするときの位置へ、体を「素早く」「一発」で戻せなければなりません。モタモタしたり、体の位置を何度も調整したりすればすぐ次の波が来てしまい先に進めません。
2017.11.06追記
ローリングスルーについて詳しく書いてみました。よろしければご覧ください。↓↓
ローリングスルーのやり方やコツ、ファンボードやロングボードには必須テクニック
カレント(離岸流)を利用する
沖へ向かう流れに乗ってアウトへ出るということです。うまく見つけられて流れに乗れると、あっという間に沖へ出られます。
カレントの部分は波が割れていないことが多く、憎きスープ波に押し戻されることなく更に楽にアウトへ出られます。
但し、沖への流れに乗るということは、必要以上に沖へ流されてしまう危険もあるということですから、十分注意しなければなりません。波が大きい時程、流れも強くなることが多いようです。
時々、サーファーが流されたとニュースになることがありますが、このカレントによるものと思われます。
カレント(離岸流)の見つけ方
まずは、波がブレイクしていない箇所を見つけます。カレントがある場所は、他の場所で波がブレイクしているときに、その箇所だけ波がブレイクしていないということが多いです。
また、海面を漂うゴミなどが集まってきているような箇所があれば、そこから沖へカレントが発生していることがあります。
沖へ伸びる堤防やテトラなどに沿ってカレントがあることもありますが、流れが複雑になっていることもあるようなので、そういう箇所には近付かない方が良いと思います。
他にも、周りよりそこだけ海底がえぐれて深くなっているなど特徴があるようです。
↓こちらのサイトが詳しいです。
東京大学海洋アライアンス:離岸流を知ろう
あとは、先に入っていく人を岸で観察するというのも手です。なぜか全員同じ所から入っていくなら、間違いなくそこがカレントだと思います。カレントで楽に沖へ行けるとわかっているのです。
バラバラ(カレントを意識していない人もいる)だったら、一番スムーズに進んでいた人の箇所をブレイクの有無や漂うゴミなどで再チェックして選べば良いと思います。
カレントは、必ず上記チェックポイントで見つけられるとは限りません。見てわからないことも多々あります。
わからない時は、自分なりにカレントだと思う根拠をつけて何箇所かルートを決め、いろいろ試してみるのも勉強になって良いかもしれません。
流されてしまったら
幸い私は命の危険を感じるほど流されたことがないので、的確なアドバイスはできないかもしれませんが、私が波待ち中などになんとなく「沖へ流されているな」と感じたときは、その場から岸へ一直線に戻るのではなく、一旦、ある程度の距離を岸と平行に移動してから岸側へ戻ることを意識しています。
まずは、流れから外れることが大切だと思います。
流れは目に見えないので難しいと思いますが、岸の景色の見え方などから、常に流されていないか確認することが大切です。
自分の良く行くポイントごとにカレントに特徴があると思いますので、ポイントガイドをチェックしたり地元サーフショップに聞くなどして、危険回避しましょう。
セットとセットの間を狙う
セットと次のセットまでの波が比較的おさまっている間に、タイミング良くパドリングを開始し、一気に沖へ出ます。
それでも越えなければならない波は何本かはあると思いますが、なるべく少なくするという作戦です。
一旦岸に戻る
数回チャレンジしてゲッティングアウトできなかった場合、一旦岸に上がり、もう一度波を観察して違う箇所へ歩いて移動し、そこからチャレンジしてみるというのもアリです。
場所を変えたら案外すんなりいけてしまうこともあったりします。
早めにプルアウト
これは、ゲッティングアウトできて1本目乗ってからのコツですが、波が崩れてからも最後まで(岸まで)乗ろうとせず、波がスープになる前に早めにプルアウト(ライディングをやめる)してしまうという手もあります。
波はブレイクするラインが一定なことが多く、ゲッティングアウトの時は、そのラインを越えるまでドルフィンスルーしたりローリングスルーしたりして波を越えなければなりません。それが一番キツイので、そのエリアに戻らないように途中でライディングをやめてしまうということです。
どうせ波がブレイクしたらスープに押されてまっすぐ乗ることしかできませんから、ゲッティングアウトで苦労しないよう早めに見切りをつけても良いと思います。
見ていると、ショートの方は早めにプルアウトしていると思います。スープではアクションできませんから乗っている意味もないのでしょう。
私は、ファンボードやロングに良く乗るので岸ギリギリまで乗ります。で、ゲッティングアウトで腕がパンパンになっていつも後悔します。(笑)
考え方を変える
大波でどうしてもゲッティングアウトできない方は、考え方を変えてみてはどうでしょう。
サイズの小さいポイントに行く
そのポイントに入らなければならない特別な理由がなければ、波情報サイトでポイントを調べて、遠出してでもドライブがてらサイズの小さいポイントに行ってみてはどうでしょう?
入ったことのないポイントに入るのはいろんな意味で怖いかもしれませんが、以前書いたこの記事、
このあたりに注意すれば、波情報に載っているメジャーなポイントでしたら問題なく入れると思います。
とある外海のポイントでは頭オーバーでも内海のポイントでは腰腹の良い波かもしれません。
上達するためには、波はサイズより質が大事だと思います。
自分にとってサーフィンを楽しめるサイズというものがあると思います。見栄を張って大波に乗っても楽しくありません。
「趣味のサーフィン」は楽しめなければ意味がありません。
あきらめる
よく、「ゲッティングアウトできないなら、その波に乗れるレベルでない。」などと言われます。たしかにそうかもしれませんが、休日しかサーフィンできないし、チャレンジもしてみたいですよね。なので、なにか秘策はないかと探してみるわけです。
でも秘策はありません。上手くなるしかありません。上手くなるには時間がかかりますから、悔しいですがあきらめも肝心だと思います。
私は波情報を見て、良く行くポイントがサイズ頭とかだったらしんどいので入りません。天気がよくて、めちゃくちゃ空いていて、波の質が良いなら入りますが。この条件が全て揃うことは多分ありえませんよね。
その日はサーフィンをやめるか、サイズの小さいポイントに入ります。
まとめ
大波でゲッティングアウトできるようになるには、ローリングスルーの技術を磨く、カレントを上手く利用する、セット間のタイミングを狙う、などやはり技術と経験がものをいいます。
技術と経験が足りない場合は、潔くポイントを変えたり、その日はあきらめるということも大切だと思います。
趣味のサーフィンは、自分が楽しめるかどうかを基準に選ぶことをおすすめします。